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キャリアパス

Career path

試行錯誤のサイクルを回し続けることが、研究を前に進める原動力

若江 亨祥

Wakae Kousho
コラム:サムネイル画像
所属
国立健康危機管理研究機構・国立感染症研究所・ウイルス第二部
研究テーマ
内在性レトロウイルスは肝炎の増悪因子か?
専門分野
ウイルス学

研究者を目指したきっかけ

Chance
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いつ頃、研究者を⽬指そうと思いましたか︖

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高校生

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研究者を目指すキッカケは何でしたか?

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高校の生物の授業で、地球上のあらゆる生物の遺伝情報が、ATGCのたった4種類の文字の組み合わせで定義されていると知り、生命の仕組みの美しさと奥深さに強い興味を持ちました。ちょうどその頃、「クローン羊ドリー」の誕生が世界的なニュースになり、同じ遺伝情報から新しい個体を生み出せるという事実に大きな衝撃を受けました。
遺伝子の不思議さとその大きな可能性を実感し、この仕組みを理解して将来はヒトの役に立つ研究につなげたいと考えるようになり、研究者の道を志しました。

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これまでのキャリアで最も印象に残っているエピソード

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博士課程の終わり頃から次世代シーケンサーが普及し始め、それまで数〜数十サンプルの配列を扱っていた研究が、一気に数百万〜数千万リード規模のデータを解析する時代になりました。最初は FASTQという見慣れないファイルを開くことすらできず、解析コマンドの意味も分からず途方に暮れました。
共同研究者の先生に教わりながら少しずつ学ぶうちに、自分の研究に活かせるようになり、可能性が大きく広がりました。研究のパラダイムシフトを肌で感じた経験の一つであり、新しい技術を日々取り入れていく重要性を学びました。

学生時代の経験

School days
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⾼校時代について

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高校時代は、理数系科目に比べて国語の現代文が得意ではなく、減点理由を説明されても十分に理解できないことがありました。振り返ると、言葉の定義の正確さや論理的な整合性への意識が低かったことが原因だったと感じています。
その後、研究を進める中で、プレゼンテーションや議論、論文執筆を経験し、言葉を正確に定義し、データに基づいて過不足なく主張することの重要性を学びました。


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大学時代について

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学部生のとき、初めて挑戦した RT-PCR(mRNAを増幅して発現を調べる方法)で「コンタミ(汚染)」がどうしても取れないという大きな壁にぶつかりました。試薬を変え、実験場所を変え、器具を新しくしても、なぜか陰性対照のはずの水からシグナルが出続け、原因が分からないまま1か月が過ぎました。毎日が試行錯誤でしたが、指導教官の先生と考えられる原因とその対策を一つ一つ検討し、最終的にはプライマーのデザインを変更することで問題を解決できました。きれいなデータが出たときの嬉しさは、今でも忘れられません。
この経験を通して、簡単に見える実験にも無数の工夫があること、問題を分解し粘り強く解決策を探し続けることの大切さを学び、研究の面白さを実感しました。


中⾼⽣の頃の⾃分に、今伝えたいことは︖

Message

「先が見えなくても地道に努力できるのは強みだけれど、立ち止まって工夫する時間も大切にしてほしい」と、伝えたいです。
当時はインターネットも今ほど普及しておらず、情報が限られる中で、先が見えなくても「何とかなる」と楽観的に考えていたように思います。だからこそ、納得するまで考えたり、地道な作業を続けたりできたことが、研究者としての現在の土台になっています。一方で、もっと情報を集めて立ち止まって考えたり、必要に応じて別のアプローチを取ったりする工夫があれば、さらに前に進めたのではないかと、今では感じています。

研究に向き合う姿勢

Attitude
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研究テーマや『問い』は、どのようにして見つけるのですか?

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自分が「なぜだろう」と感じた疑問や仮説を出発点に考えます。次にその問いを本当に確かめられるかどうかを、今ある技術や環境と照らし合わせながら、興味と現実の両方を意識して決めています。

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実験が思うような結果にならなかったり、仮説どおりにならなかったりした場合、どのように乗り越えますか?

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実験がうまくいかなかったり、仮説が間違っていたと分かったときは、別のアプローチを考えたり、作業仮説を見直したりする良い機会だと前向きに捉えるようにしています。実際、実験を進めることで初めて見えてくる可能性や、これまで意識していなかった他分野との接点に気づくことも多く、新しい視点やテーマを思いつくきっかけになることがあります。
行き詰まったときこそ、自分が設定した問いに対して考えることをやめず、粘り強く向き合い続けることが何より重要だと感じています。

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研究を進める上で、特に重要だと考えているスキルや能力は何ですか?

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「考え続ける力」です。
自分で設定した問いに対して、必要な情報を集めて頭の中で整理し、実験を行い、その結果からフィードバックを得て問いをさらに洗練させていく。この試行錯誤のサイクルを回し続けることが、研究を前に進める原動力になります。一度で正解にたどり着くことは少ないからこそ、立ち止まらずに考え続ける姿勢が大切だと感じています。

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研究者になって良かったこと、研究者として働くことの魅力は何ですか?

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自分の頭で考えた疑問や発想から、自分で問いを立て、調べ、実験し、答えを探していくことがそのまま仕事になる、自由さと面白さかと思います。

研究者の仕事と日常

Life
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研究者は毎日何をしているんですか?

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研究者というと、白衣を着て実験室で一日中実験をしているイメージがあるかもしれません。実際、実験に費やす時間も多いのですが、それと同じくらいパソコンに向かう時間が長く、コンピューターリテラシーが欠かせません。
新しい論文を読んで情報を集めたり、実験を行うための申請書類を作ったり、集まったデータを整理・解析したりします。実験そのものだけでなく、準備を整え、結果を分かりやすくまとめて人に伝えるところまでが、研究者の大切な仕事です。

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休みの日は何をしていますか?

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休みの日は、まず家族とゆっくり過ごす時間を大切にしています。平日は忙しいことも多いので、家族とごはんを食べたり、出かけたりする時間が心のリセットになっています。
また、体を動かすのが好きで、マラソンやテニスが趣味です。走ったり打ち合ったりして汗をかくと、気分がすっきりして新しいアイデアが浮かぶこともあります。
研究とは違う時間を持つことで、また前向きに仕事に向き合えるようになります。

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Wakae Kousho
所属
国立健康危機管理研究機構・国立感染症研究所・ウイルス第二部
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