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研究者紹介

Researcher

吉村 昭彦の写真

吉村 昭彦

Yoshimura Akihiko
所属
東京理科大学生命医科学研究所
役職
教授
研究テーマ
サイトカイン、病態生化学
専門分野
免疫学関連
研究キーワード
生体防御, 獲得免疫, 免疫応答
キーテクノロジー
CAR-T療法

研究テーマについて

Theme
q

ご自身の研究を⼀⾔で表すと?

a

T細胞疲弊のメカニズム解明と固形がんに有効なCARーT療法の開発

q

具体的に何を明らかにしようとしていますか?

a

がん細胞を攻撃するT細胞は、がんを攻撃する過程で急速に疲弊し、機能を失っていきます。
その疲弊の中心を担う転写因子がNR4Aです。
NR4Aを阻害し、さらに疲弊したCAR-T細胞を若返らせることができれば、固形がんを治療できるのではないかと考えています。

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なぜこの研究が重要なのですか?

a

CAR-T細胞療法は血液がんに対しては画期的な効果を示しましたが、固形がんには苦戦しています。
その大きな理由の一つがT細胞疲弊です。
疲弊したT細胞を若返らせることができれば、CAR-T細胞によって固形がんを治療できると考えています。
その鍵を握るのがNR4Aです。

研究への想いと挑戦

Thoughts
q

研究の中で最もワクワクする瞬間は︖

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もともとNR4Aは、制御性T細胞(Treg)を生み出す遺伝子として、私たちが2013年に見いだした分子です。
マウスでNR4AをノックアウトするとTregができないことを見つけたときは、「予想が当たった」と大いに興奮しました。
さらに米国との共同研究により、NR4AがキラーT細胞において「疲弊」という現象を担う役割を持つことが明らかになり、2019年にNatureに報告しました。
これもまた全く予想外の展開で、「すごい分子に当たった」という驚きと、「もしかしたらがんを治療できるかもしれない」という予感に胸が躍りました。

q

あなたの研究の独⾃性は何ですか︖

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独自性は、実のところそれほど意識してきませんでした。
自分たちが見つけた分子をコツコツ調べていたら、周囲との共同研究を通じて思いがけず大きなことが分かってきた、というのが正直なところです。
それが独自性だというなら、「材料やデータをできるだけオープンにして仲間を呼び込むこと」、そしてその結果として「運がいいこと」なのかもしれません。

q

これまでのキャリアを通して得られた成果を教えてください

a

キャリアの初期には、サイトカインシグナルの研究を行っていました。
その中で、サイトカインシグナルを抑制する遺伝子SOCSやSPREDを発見し、Nature誌に報告しました。
この成果は、その後多くの研究室に引き継がれ、がんや自己免疫疾患の発症機構の理解につながりました。
また、NR4Aの発見は、免疫寛容、すなわち免疫系が自己や無害な異物に反応しない仕組みの基本的理解にもつながりました。
どちらも多くの大学院生やスタッフとともに取り組んだ研究であり、研究は一人でできるものではなく、多くの若い人たちとの共同作業であることを改めて実感しました。

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共同研究の希望について教えてください

a

現在は、NR4A阻害剤、特に低分子化合物の開発と、NR4Aを標的としたがん免疫療法の実用化をともに進めてくださる企業を探しています。

今後の研究の展望・夢

Dream

5年後には、私たちの研究成果が新しいがん治療として臨床応用され、治療が難しいがん患者さんに希望を届けたいと思っています。
10年後には、おそらく完全に引退しているでしょうが、地域で子どもたちに勉強を教えられたらいいなと思っています。

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研究者の道を歩んできて、⼀番⼤切だと思うことは?

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チャップリンは映画の中で、「人生に必要なものは勇気と想像力、それにほんの少しのお金」と語りました。同じように、研究に必要なのも「勇気と想像力、そしてほんの少しの研究費」だと思います。研究費はもちろん必要です。しかし、あまりに多額の研究費が本当に必要とは限りません。むしろ、想像力や勇気を奪ってしまうことさえあります。
研究の面白さは、これまでにないものを見つけることにあります。そのためには想像力が必要です。ある意味では、妄想力と言ってもよいかもしれません。そして、それを実証し、実現するためには、失敗を恐れず、そこに賭ける勇気が必要です。
私自身、ラボを持って間もない頃、これまで一度も扱ったことのない技術を用いて、JAKに結合する分子の探索に挑戦しました。その方法は、十分な資金がなくても実施できるものでした。駆け出しの自分にもできるはずだと思って、挑戦したのです。その結果、SOCSとSPREDという遺伝子断片が見つかりました。ただのゴミかもしれない。しかし、それらに賭け、大学院生を総動員してその機能解明に取り組みました。幸い、その挑戦はうまくいき、どちらもNatureに掲載されました。
初めての挑戦には、「ビギナーズラック」が「おまけ」でついてくることもよくある、ということも知っておいて損はないと思います。

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研究者になりたいという夢を叶えるために、一番大事なことはなんですか?

a

若い時は、広く勉強して多くの知識を蓄えることが大切です。
あまり早くから自分を枠にはめないこと。
「想像力」を養うには、専門外の勉強や知識が役に立ちます。
そして夢をかなえるためには、困難に挑戦する「勇気」が必要です。
研究には困難がつきものです。

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吉村 昭彦

Yoshimura Akihiko
所属
東京理科大学生命医科学研究所
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