塩田 拓也
Shiota Takuya-
専門分野
- 細菌学(含真菌学)・寄生虫学関連
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研究キーワード
- 細菌, ワクチン, 抗菌薬
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キーテクノロジー
- in vitro再構築実験、EMM アセンブリーアッセイ、in vivo光架橋実験
研究テーマについて
Themeご自身の研究を⼀⾔で表すと?
培養できない細菌による性感染症「梅毒」のワクチン開発
具体的に何を明らかにしようとしていますか?
梅毒の原因となるTreponema pallidumの外膜タンパク質の構造、エピトープとなる表面露出部分の決定を目指しています。
T. pallidumは培養できないので、菌を使ってタンパク質の解析ができません。そこで、大腸菌の膜画分を用いたin vitro再構築系「EMMアセンブリーアッセイ」によって立体構造をとった外膜タンパク質を作製し、それを使って構造、機能解析をしています。
なぜこの研究が重要なのですか?
梅毒は、近年世界的に感染者数が増加している性感染症です。抗菌薬による治療法が確立されている現在でも、原因菌であるTreponema pallidumが純粋培養できないため、検査法やワクチン開発に必要な標的となる分子が決定されていません。
私たちの研究では、T. pallidumが持つ細菌表層に存在する外膜タンパク質に着目し、この構造や機能解析を培養しないで実現する方法を用いることで標的分子の決定を目指しています。標的分子が決定できれば、命の危険がある、母子感染による先天梅毒などを防ぐことが可能になります。
研究への想いと挑戦
Thoughts研究の中で最もワクワクする瞬間は︖
大学院生時代にはミトコンドリアのタンパク質輸送に関する研究をしていました。
ミトコンドリアのタンパク質はミトコンドリアの外で合成され、ミトコンドリアの外膜を透過して中に入ります。その際にタンパク質でできたトンネルを通りますが、当時トンネルの実態は不明でした。
自分は、in vivo部位特異的光架橋法という方法をミトコンドリアタンパク質輸送研究に適応させており、この方法でトンネルを通過中のタンパク質を捉えることに成功しました。これにより長年謎だったトンネルの実態を解明できた時の感動は今も覚えています。
あなたの研究の独⾃性は何ですか︖
従来、梅毒の研究はT. pallidumの培養を目指したものが多かったですが、私たちは、T. pallidumと同じ種類の細菌である大腸菌を使ったin vitro再構築実験系を用いて培養を回避することで確実なタンパク質解析を進めています。
これまでのキャリアを通して得られた成果を教えてください
ミトコンドリアの外膜に存在するタンパク質搬入装置、TOM複合体の分子形態を、当時はまだ発達していなかった構造予測と架橋法を組み合わせることで決定し、Science誌にその成果が掲載されました。その後、共同研究として、TOM複合体の構造をクライオ電子顕微鏡で決定し、Nature誌に掲載されました。その後は、ポスドク先でEMMアセンブリーアッセイと命名した細菌の外膜タンパク質の輸送をin vitroで再構築する方法を開発しました。そして、この方法をもとにPIとして宮崎大学でラボを主宰し、近年では細菌の外膜タンパク質に隠れている内部シグナルを発見し、eLife誌に報告しました。
共同研究の希望について教えてください
クライオ電子顕微鏡解析、ファージディスプレイ、抗体開発、ワクチン開発
今後の研究の展望・夢
Dream独自に構築した解析法を応用し、梅毒ワクチンの共同研究へ
EMMアセンブリーアッセイを難培養性細菌の外膜タンパク質の主要な解析法として注目してもらえるように研究成果を上げていきたい。梅毒のワクチン開発については我々の研究は基礎の基礎部分なので、有効性を認めてもらい共同研究ができるように進めていきたい。
研究者の道を歩んできて、⼀番⼤切だと思うことは?
悩む時間が大切だと思います。周りが成果を上げている中でも自分で悩んでもがき苦しんで出した成果は本物です。周りの成果に影響されて早出ししたものは本物には慣れません。その時が来るまで焦らず、けれどもしっかりと向き合いながらじっくりとその時を待ちましょう。
研究者になりたいという夢を叶えるために、一番大事なことはなんですか?
運だと思います。その運を呼び込むためには、不断の努力が必要かと思います。
