野村 紀通
Nomura Norimichi-
専門分野
- ウイルス学
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研究キーワード
- ウイルスアセンブリ, ウイルス膜蛋白質, 分子集合, ウイルス侵入受容体
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キーテクノロジー
- クライオ電子顕微鏡, 立体構造認識抗体, in membro構造解析, 構造状態分布解析
研究テーマについて
Themeご自身の研究を⼀⾔で表すと?
ウイルスの「組み立て」を止める新しい創薬
具体的に何を明らかにしようとしていますか?
新型コロナウイルスやB型肝炎ウイルスなどのエンベロープウイルスを対象に、ウイルス粒子の外殻をつくる膜蛋白質がどのように集合してウイルスを形成するのかを研究しています。特に、これまで見えなかった一時的な構造状態に着目し、粒子形成の仕組みを分子レベルで解明するとともに、その過程を阻害する新しい治療薬の開発を目指しています。
なぜこの研究が重要なのですか?
新型コロナウイルス感染症やB型肝炎などのウイルス感染症は、現在でも世界中で大きな健康問題となっています。しかし既存の治療薬には、点滴が必要であったり、薬の相互作用に制限があるなどの課題が残されています。
本研究では、これまで創薬標的として十分に利用されてこなかったウイルス膜蛋白質に着目し、「ウイルスが自らを組み立てる仕組み」を止めるという新しい治療戦略を開拓します。これにより、より安全で使いやすい経口薬の開発や、新興感染症にも迅速に対応できる次世代の抗ウイルス治療につながることが期待されます。
研究への想いと挑戦
Thoughts研究の中で最もワクワクする瞬間は︖
クライオ電子顕微鏡で、これまで誰も見たことのない分子の姿がはっきりと現れた瞬間です。
特に、ウイルス膜蛋白質が複数の状態を行き来している様子や、その中で一瞬だけ現れる「隠れた構造」が見えたときには強い興奮を覚えます。それが薬の結合部位になる可能性があると気づいた瞬間、「この発見が新しい治療につながるかもしれない」と実感し、研究の醍醐味を感じます。
あなたの研究の独⾃性は何ですか︖
従来は静的なタンパク質構造に基づく創薬が主流でしたが、私たちは分子が動く中で一時的に現れる「隠れたポケット(クリプティックポケット)」に着目しています。さらに、独自の構造認識抗体技術を用いてその状態を安定化し、可視化と創薬を同時に進める点に独自性があります。
共同研究の希望について教えてください
テーマ:ウイルス膜蛋白質を標的とした新規抗ウイルス薬の開発
今後の研究の展望・夢
Dream知見を新しい治療法の開発につなげることで、基礎科学と医療の両面から社会に貢献したい
生命は、物質(生体分子)から構成されていながら、分子全体が動的な秩序にしたがって振る舞うシステムであるところが最も不思議で、かつ魅力的だと思います。「どのようにして「バラバラの分子」が「機能的な自己集合体」へと相転移するのか」、「物質がいつ、どのようにして生命としての振る舞いを開始するのか」という根源的問題に少しでも近づけるような研究成果を出したいと考えています。ウイルスを構成する物質(ウイルス膜蛋白質分子など)が自己集合して最終的に子孫ウイルス粒子になるという現象は、その問いを解く鍵の一つになると考えて研究をしています。ウイルスがその構成要素から粒子へと組み上がる過程を分子レベルで解明し、その知見を新しい治療法の開発につなげることで、基礎科学と医療の両面から社会に貢献したいと考えています。
研究者の道を歩んできて、⼀番⼤切だと思うことは?
最も大切なのは、「自分は本質的に何が知りたいのか」をじっくり考えて、その答えを定めて行動に移すことだと思います。また、「うまくいかない理由を考え続ける力」も重要だと思います。
私自身、長い間成果が出ない時期がありましたが、その中で試行錯誤を重ねることで、少しずつ独自の方法を見つけることができました。失敗を単なる失敗で終わらせず、「なぜそうなったのか」を考え続けることが、新しい発見につながると感じています。
研究者になりたいという夢を叶えるために、一番大事なことはなんですか?
一番大事なのは、「面白い」と思う気持ちを持ち続けることです。
実験が楽しいという理由はとても大切で、それが研究の原動力になります。ただし、研究は思い通りにいかない時間の方が長いので、その中でも諦めずに続けられるかどうかが重要です。自分のなかにある疑問やモヤモヤする気持ちときちんと向き合うことと「続ける力」の両方があれば、研究者への道は十分に開けると思います。