正しい知識は人の見方や行動を変える力を持っている
伴戸 寛徳
Bando Hironori- 感染症
研究者を目指したきっかけ
Chanceいつ頃、研究者を⽬指そうと思いましたか︖
大学生
研究者を目指すキッカケは何でしたか?
振り返ると、本当に最初のきっかけは、未知の微生物を探し出す「微生物ハンター」になりたいと思ったことでした。
自然界から見つかった微生物やその酵素は、洗剤の汚れを落とす酵素、食品加工、医薬品など、身近なところで実際に役立っています。
一方で、自分の足元にある土の中にも、従来の方法では培養できるものが1%程度とも言われるほど、まだ知られていない微生物が数多く眠っています。
こんなに身近な見えない世界に、まだ人類が触れていない力が隠れている。
その宝探しのような面白さが、研究者を目指す原点になりました。
これまでのキャリアで最も印象に残っているエピソード
印象に残っているのは、寄生虫の話を市民や学生にしたとき、「怖い」「気持ち悪い」という反応が、少しずつ「面白い」「もっと知りたい」に変わっていったことです。
また、アフリカの調査で、自分にとっては当たり前の知識でも、伝えるだけで誰かの命を守ることにつながる場合があると強く実感したことです。
一見違う経験ですが、本質は同じで、正しい知識は人の見方や行動を変える力を持っているのだと思います。
これらの経験から、研究は知識を増やすだけでなく、見えない世界の意味を社会と共有し、世界の見え方そのものを変える営みでもあると考えるようになりました。
学生時代の経験
School days⾼校時代について
高校時代、漢字が本当に苦手で、朝の小テストでは自分だけ小中学生向けの問題からやらせてもらっていました。
当時は恥ずかしさもありましたが、今思うと、できないことは欠点ではなく、自分の取扱説明書を知るきっかけだった気がします。
できないことを隠して前に進むより、つまずいた場所まで戻る方が、結局は強い。
どこで読めなくなるのか、どこで止まるのかを知ることは、研究で原因を探る感覚にも似ています。
研究でも、うまくいかない時ほど、自分が何をわかっていないのかを見つけることが、次に進むための出発点になると感じています。
大学/大学院時代について
研究室に配属された当初、紙とペンと机とパソコンだけを渡され、「自分の興味があることを考えて教えてください」と言われました。
最初はネットで調べて、なんとなく気になるテーマを持っていきましたが、「それは興味の表層であって、その奥にある本質的な興味を探しなさい」と言われました。
そのやり取りを何度も繰り返す中で、自分は何に驚き、何を不思議だと思い、何を本当に知りたいのかを考えるようになりました。
研究は、与えられた問題を解く前に、自分の中にある問いを見つけることから始まるのだと学びました。
中⾼⽣の頃の⾃分に、今伝えたいことは︖
Message今は意味がわからない失敗や遠回りも、あとでけっこう伏線回収されるから大丈夫。
苦手なことも、変にこだわっていることも、たぶん全部どこかにつながる。
アニメやドラマと同じで、伏線多めの人生の方があとで語って楽しい。
伏線はそこらじゅうにあって、それに気づいて大事にできる人の方が、人生を少し面白くできる。
だから、今すぐ意味がわからなくてもいい。
焦らず、見逃さず、今の自分のまま、ちゃんと進んでいい。