伴戸 寛徳
Bando Hironori-
専門分野
- 細菌学(含真菌学)・寄生虫学
-
研究キーワード
- 原虫, 寄生虫, 抗寄生虫/原虫薬
-
キーテクノロジー
- CRISPR/Cas9, ルシフェラーゼアッセイ, RNA-seq, 感染免疫解析
研究テーマについて
Themeご自身の研究を⼀⾔で表すと?
寄生虫感染が免疫を介して人と社会を変える仕組みの解明
具体的に何を明らかにしようとしていますか?
寄生虫感染によって、私たちの体や脳、社会との関わりがどこまで変わるのかを研究しています。
特に、感染に対する免疫応答が病気の重症化や神経機能に及ぼす影響に注目し、寄生虫と宿主の相互作用が人の心身や社会にどのような変化をもたらすのかを明らかにしようとしています。
なぜこの研究が重要なのですか?
寄生虫感染は「お腹が痛くなる病気」だけではありません。
トキソプラズマ症のように、妊婦さんや胎児、免疫が弱った人に深刻な影響を与える病気もあります。
さらに、感染が脳や心身の状態に影響を及ぼす可能性も指摘されています。
この研究は、新しい治療法や予防法の開発だけでなく、寄生虫症を正しく理解し、過度に恐れず、科学的に向き合える社会づくりにつながると考えています。
研究への想いと挑戦
Thoughts研究の中で最もワクワクする瞬間は?
ワクワクするのは、顕微鏡をのぞいていて、予想していなかった細胞や免疫の変化などに出会った瞬間です。
一見小さな変化でも、「寄生虫が宿主のルールを書き換えた痕跡ではないか」と感じることがあります。
その痕跡を手がかりに、寄生虫と宿主の見えない駆け引きを推理していく時間に、研究の醍醐味を感じます。
あなたの研究の独⾃性は何ですか?
従来の寄生虫研究は、寄生虫そのものや治療標的を見ることが中心でした。
私は、感染された宿主の免疫応答や脳への影響、さらに社会との関係までを一つながりに捉え、寄生虫感染を「宿主の見え方や社会との関わりまで変えうる現象」として読み解こうとしています。
そこから、新しい治療や予防の視点を探しています。
これまでのキャリアを通して得られた成果を教えてください
トキソプラズマなどを対象に、感染による病態形成メカニズムや治療標的の探索に取り組んできました。
その中で、寄生虫を単なる敵ではなく、宿主の免疫や体のルールを揺さぶる存在として捉える視点を得たことは、大きな成果です。
さらに、患者会や市民との対話を通じて、基礎研究を論文で終わらせず、人の不安や社会の理解につなげることの大切さを実感できたことも、私にとって意味のある一歩でした。
共同研究の希望について教えてください
テーマ:宇宙で寄生虫とヒトの関係はどう変わるのか
求める技術:宇宙医学、感染免疫学、神経・行動解析、オミクス解析、微小重力
今後の研究の展望・夢
Dreamいつか思わず笑えて、でも深く考えさせられる研究でイグノーベル賞を
5年後には、寄生虫が免疫や脳の反応をどう揺さぶるのかを明らかにし、新しい治療法の種を見つけたいです。
10年後には、例えば重力のように「当たり前すぎて疑わないもの」が、生命現象にどんな意味を持つのかを見直したいです。
寄生虫と宿主の関係を通して、普遍に見えるものの本質を問い直し、いつか思わず笑えて、でも深く考えさせられる研究でイグノーベル賞を目指したいです。
研究者の道を歩んできて、⼀番⼤切だと思うことは?
研究者に大切なのは、ノイズに聞こえるものの中にある違和感や引っかかりを、簡単に消さないことだと思います。
同じ世界を見ていても、何が見え、何が心に残るかは人によって違います。
先生や友人の何気ない一言が、あとから自分の世界の見え方を切り替えるスイッチだったと気づくこともあります。
誰かにはただの雑音に見えるものから、自分だけの意味を見つけていく。
その積み重ねが、世界の解像度を上げていくのだと思います。
研究者になりたいという夢を叶えるために、一番大事なことはなんですか?
研究者になりたいという夢を叶えるために、一番大事なことは「説明できない好奇心を守ること」だと思います。
研究者を目指すのに、最初から立派な理由がなくても大丈夫です。例えば「実験が楽しい」だけでも十分です。
その気持ちを無理に大人っぽい言葉に直したり、「社会のため」「将来性のため」と説明したりしなくてもいい。
楽しい、面白そう、気になるという感情は、自分の中のセンサーが反応している証拠です。
親に心配されたり、職業としてやっていけるか不安になったりしても、その感覚までは捨てなくていい。
説明できない好奇心は、まだ名前のない問いの入口です。無理に説明しようとせず、大事に育てていくと、いつか自分だけの問いに出会えると思います。