第2回:研究をしていて、心が躍る瞬間
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宮崎大学 フロンティア科学総合研究センター
塩田 拓也コラム
column 研究者という仕事を生業にすると決定する際に、中毒となる脳汁が出るような経験が誰でもあるだろう。
私の場合、学会などで皆が議論しているオープンクエスチョンに答えを与える成果が得られたときがそれだ。私は、ミトコンドリアにタンパク質が入る際の通り道がどこかという問題を、自分が開発に一部携わった方法で解明できたことが、研究に取り憑かれるきっかけの一つになった。
ミトコンドリアは細菌が共生してできた細胞小器官だが、細菌だった頃に自身のゲノムに持っていた遺伝子(タンパク質の情報)の大部分を、宿主細胞の核ゲノムに移している。そのため、ミトコンドリアのタンパク質の大部分は外で合成され、ミトコンドリアはそれを取り込む必要がある。
しかし当時は、タンパク質が膜を越えてミトコンドリアにどのようにして入るのかについて、不明な点が多く残されていた。
膜を越えるためのトンネルを提供するタンパク質はTom40で、βバレルと呼ばれる筒状の構造をしていることは分かっていた。ところが、Tom40は複数が集合してトンネルを形成しているため、1分子のTom40が作る筒の中を通るのか、それとも複数のTom40が集まったときにその間にできる隙間を通るのかは証明されておらず、まさにオープンクエスチョンだった。
博士課程在学中、私は「in vivo部位特異的光架橋法」をミトコンドリアのタンパク質輸送に適用するプロジェクトを担当していた。これは、架橋基を持つ非天然アミノ酸をタンパク質に組み込んで使う方法だ。組み込んだアミノ酸が紫外線を当てた瞬間に近くのタンパク質と結合するため、その時点での相互作用をスナップショットのように捉えることができる。
私は、この非天然アミノ酸をTom40の筒の内側に飛び出しているアミノ酸と、外側に飛び出しているアミノ酸に別々に導入し、タンパク質を透過させている最中に紫外線を照射して、透過中の様子を捉えた。結果は明快だった。筒の内側に架橋アミノ酸を入れた場合だけ、輸送中のタンパク質との架橋が形成されたのである。ミトコンドリアのタンパク質はTom40の筒の内側を通る。オープンクエスチョンに答えが出た瞬間だった。
この結果が得られてから発表するまでの間、学会でその議論をしている世界中の研究者を横目で見ながら、自分は答えを知っているとひそかに思っていた。あれほど心が躍る経験は、そうあるものではない。
クエスチョン・リレー
Question Relay研究者リレーコラムでは、執筆者が前回の質問に答え、次回の執筆者へ新たな問いを投げかける『クエスチョン・リレー』を行っています。
北本宗子先生から、塩田先生への質問
もし研究者になっていなかったら、今ごろどんな職業でどんな生活をしていたと想像しますか?
小学生の頃の夢は大工さんでした。やはりこだわって何かに打ち込むような仕事についているのではないかと思います。
塩田先生から、次の研究者への質問